ガイドウォームアップの基本
休止から戻ったら、もう一度ウォームアップは必要か
送信が止まったメールボックスは、評価をいつまでも保てるわけではありません。かといって、一晩で失うわけでもありません。どのくらいの休止なら問題ないか、文書には何が書かれているか、迷惑メールフィルタに引っかからずに戻るにはどうするかを説明します。
要点
- 数日の休みなら何も変わりません。まったく送信しない状態が1か月ほどを超えたら、少ない数から再開し、1〜2週間かけて戻します。
- 30日ルールはメール配信サービスに由来し、専用IPアドレスに適用されるものです。ドメインについて日数を公表しているメール事業者はありません。
- メールボックスを普段のやり取りに使い続けていたなら、ドメインの履歴は保たれています。注意が必要なのは、キャンペーンの送信数に戻すときだけです。
- 休止しても、悪い評価は直りません。まず原因を解消し、それから再ウォームアップします。
- 休止を計画できるなら、後から立て直すより、休止中も少量のメールを安定して流し続けるほうが簡単です。
数日の休止の後なら、必要ありません。これまでどおり続けてください。まったく送信しない状態が1か月ほどを超えた後なら必要ですが、ゼロからではありません。以前の送信数よりかなり少ない数から再開し、1〜2週間かけて戻します。送信履歴がいつ古くなるのかを公表しているメール事業者はありません。30日という目安は、メール配信サービスと、その専用IPアドレスに関するルールに由来します。
どのくらいの休止から問題になるのか
答えは、メールボックスとそのドメインから何も送信されなかった期間の長さで変わります。
| 送信がなかった期間 | すること | 目安の出どころ |
|---|---|---|
| 1週間まで | いつもの送信数で続けます。 | ここで引用しているメール事業者の文書に、短い空白を問題として扱うものはありません。週末や休暇は、どのメールボックスの使われ方にも含まれています。 |
| 1〜4週間 | いつもの1日の送信数の半分ほどで再開し、数日かけて元に戻します。 | 用心のためであり、公表されたルールではありません。直近の記録が薄くなっており、Googleは急な増加に注意を促しています。 |
| 30日超 | 再ウォームアップ:少ない数から始め、1〜2週間かけて戻します。 | Twilio SendGrid(専用IPについて):「30日を超えてIPアドレスからメールを送信していない場合は、もう一度ウォームアップしてください。」 |
| 数か月、または実質的に送信したことのないドメイン | 新規として扱います。2〜4週間の完全なウォームアップです。 | Microsoft(送信実績のないIPについて):それらには「通常、当社のシステムに評価(レピュテーション)が蓄積されていません」。 |
文書で確認できること、できないこと
明確な数字は、専用IPアドレスを貸し出している企業のものです(ここでの引用はすべて2026年10月時点)。Twilio SendGridは、上で引用した30日ルールを定めています。Amazon SESは、ウォームアップ済みのIPをその状態に保つには何が必要かを説明しています。「良好な評価を維持したいメール事業者ごとに、毎日約1,000通のメールを送信する必要があります」。
これらのルールは、1つの送信者に属するIPアドレスについてのものです。メールボックスがGoogle Workspaceやホスティング事業者にある場合、送信には他の多くの顧客と共有するアドレスを使っており、それらはあなたがいなくても動き続けています。休止中に静かになるのは、あなたのドメインです。
ドメインについては、メール事業者は原則を説明するだけで、数字を示していません。
- Google(Top 10 Gmail sender issues):「一定した送信数は、送信ドメインの長期的なメール配信の成功に不可欠です。」
- Google(メール送信者のガイドライン):「大量送信の実績がない場合は、送信数を急増させないでください。」
- Yahoo(Sender HubのFAQ):「一定のペースでメールを送っていて、急に活動が跳ね上がると、乗っ取られた送信者と判定され、迷惑メールとして扱われることがあります。」
- 業界の不正利用対策ワーキンググループによる指針であるM3AAWG Sender Best Common Practices(バージョン3.0、2015年):「送信数の一貫性は、多くても少なくても、IPの評価と到達率の結果を決めるうえで不可欠な役割を果たします。」
Gmail、Outlook、Yahooが、何日たつと以前のメールを数えなくなるのかは、どの文書にも書かれていません。ドメインについて正確な日数を示す人は、経験を伝えているのです。上の表も例外ではありません。
Yahooの一文は、危ないのが休止そのものではなく、戻るときである理由を説明しています。直近の記録がないのに突然大量に送信する送信者は、乗っ取られたアカウントのように見えます。あなたが休暇中だったことは、フィルタには分かりません。
休止の3つの種類
ウォームアップツールは止めたが、メールは書き続けていた
それなら、休止はなかったことになります。メールボックスは、実在の人に本物のメールを送り続けていました。ツールをオンに戻しても、オフのままでもかまいません。直すものはありません。
キャンペーンは止めたが、メールボックスは使っていた
ドメインの履歴は、日々のやり取りの水準で保たれています。それでも、戻すときには注意が必要です。1日15通の個人的なメールから300通のキャンペーンメールに増やすのは、GoogleとYahooが述べている急増にあたります。キャンペーンは段階的に戻してください。
すべてが止まっていた
メールボックスから誰もメールを書かなかったか、ドメインがキャンペーンしか送っておらず、それが止まった場合です。表が対象にしているのはこのケースで、以下の手順もこのためのものです。
戻し方を順に追う
- 認証が引き続きpass(合格)することを確認します。静かな数か月は、レコードが気づかないうちに壊れる時期です。誰かがDNSを整理した、メール事業者が変わった、DKIMの鍵が入れ替わった、といったことが起きます。自分のGmailアドレスにメッセージを送り、開いてShow original(メッセージのソースを表示)を選び、3つのpassを探してください。SPF・DKIM・DMARCという、メッセージが本当にあなたのドメインから送られたことを示すチェックです。
Authentication-Results: mx.google.com; dkim=pass header.i=@example.com header.s=google header.b=Xk3fQ9aB; spf=pass (google.com: domain of anna@example.com designates 209.85.220.41 as permitted sender) smtp.mailfrom=anna@example.com; dmarc=pass (p=NONE sp=NONE dis=NONE) header.from=example.com - 少ない数から始めます。1か月を超えて送信がなかった場合は、初めてのウォームアップと同じく、1日数通から始めます。それより短い休止なら、以前の送信数の半分ほどから始めます。
- まず、あなたを知っている人に書きます。Googleの表現は「エンゲージメントの高いユーザーへの少ない送信数」です。返事をくれる顧客、取引先、同僚は、コールドメールのリストよりも最初の送信先に向いています。
- 均等な刻みで増やします。Googleは、メールを拒否された状態から回復中の送信者について「一般的な1日の増加幅は25%〜100%」と述べ、別の箇所では送信数を「いきなり2倍にする」ことに注意を促しています。下限寄りにとどめてください。1日25%なら、送信数は約3日ごとに2倍になり、以前の水準が1日40通なら8日目に戻ります。
日目 1 2 3 4 5 6 7 8 通数 10 13 16 20 24 31 38 48 - 拒否に注意します。配信遅延(delivery delayed)の通知や、Gmailの
421 4.7.28(「unusual rate of email」、通常とは異なるメール送信ペース)のようなコードは、メール事業者がペースを落とすよう求めているという意味です。Googleの指示は、「SMTPエラー率が下がるまで送信数を減らし、その後、再びゆっくり増やす」ことです。 - 水準を保ってから、キャンペーンを加えます。あなたを知らない人に送る前に、いつもの水準のまま、問題のない日を数日過ごしてください。そのうえで、キャンペーンも段階的に加えます。数字については、1つのメールボックスから1日に送れるコールドメールの数をご覧ください。

休止しても、悪い記録はきれいにならない
迷惑メールの問題が起きた後の対処として、ドメインを休ませるよう勧められることがあります。迷惑メール率が高い送信者へのGoogleの助言には、たしかに待つことが含まれていますが、それは一文の後半です。「評価を下げる原因となる送信行為を避け、送信ドメインまたはIPアドレスが低い評価から回復するのを待ちます。」結果を変えるのは、前半のほうです。
Google自身の説明でも、回復には時間がかかります。メール送信者のガイドラインにはこうあります。「迷惑メール率の改善が迷惑メールの分類に良い形で反映されるまでには、時間がかかることがあります。」休止が苦情の後に続いたものなら、まず原因を見つけて解消してください。それから、新しいメールボックスと同じように再ウォームアップし、表の期間より長くかかるものと考えてください。
計画的な休止なら、小舟を1隻走らせておく
ビジネスに季節性がある、2か月不在にするなど、静かな期間が来ると分かっているなら、完全には止めないほうが簡単です。上のM3AAWGの一文は、一貫性は「多くても少なくても」重要だとしています。1日数通も、送信数のうちです。
これは、無料のウォームアッププールがよく合うケースです。WarmupBayでは、メールボックスが他の参加者のメールボックスと1日最大10通の短いメールを交換します。無料で、期限はありません。サイトのフッターにバッジを表示すると、最大30通になります。メールの一部には返信が付き、迷惑メールに入ったウォームアップメールは取り出されます。あなた自身が何も送らない間も、認証済みのメールがメールボックスから出ていきます。

ダッシュボードには、それらのメールの届き先(受信トレイ、Gmailタブ、迷惑メール)が、Googleとその他の事業者に分けて表示されます。戻ってきたとき、顧客にメールを書く前に、ウォームアップメールが今も受信トレイに届いているかを確認できます。メールボックスの接続は、出発前でも、戻った日でもかまいません。WarmupBayの新しいウォームアップは1日3通から始まり、毎日1通ずつ増えます。これは、再ウォームアップに必要な、少ない数からのスタートです。
できないことは、次のとおりです。
- 受信トレイへの到達は保証しません。また、知り合い同士のメールと比べて、プールで交換されたメールをどう重み付けするのかを文書にしているメール事業者はありません。
- 1日10通または30通は、メールボックスを活動状態に保ちます。数千通を送るための評価を維持するものではありません。
- SPF・DKIM・DMARCが設定されている必要があります。接続時に確認し、72時間たってもレコードがない場合、ウォームアップは停止します。
- Microsoft 365とOutlook.comのメールボックスは、まだ接続できません。GmailとGoogle Workspaceはアプリパスワードで、その他のメール事業者はIMAPとSMTPで接続します。
- 1アカウントにつきメールボックス1件。製品は新しく、2026年10月に始まりました。
休止明けに、新しいメールボックスや新しいドメインで一から始める場合は、初回の時間軸をメールウォームアップにはどれくらいかかるのかで説明しています。
よくある質問
ウォームアップツールを週末だけ止めると、それまでの進み具合は失われますか?
このページで引用しているメール事業者の文書に、そう示すものはありません。人が使うメールボックスは、週末や休暇にはいつも静かになります。問題になる空白は、日単位ではなく週単位のものです。
メール事業者を乗り換えたら、もう一度ウォームアップが必要ですか?
部分的には必要です。新しい事業者があなたのドメインのDKIMでメールに署名するなら、ドメインの評価は一緒に移ります。M3AAWGの送信者向けプラクティスは、DKIMによって送信者は「その評価を持ち運べる」としています。ただし、サーバーはあなたにとって新しいものです。Googleのガイドラインは、送信インフラに大きな変更があった後は、変更されたトラフィックを別に増やしていくよう送信者に求めています。1週間ほどの短い立ち上げ期間を見込んでください。
メールを一度も送っていない古いドメインは、ウォームアップ済みとみなされますか?
いいえ。古さは履歴ではありません。Microsoftは、これまでメールを送信したことのないIPアドレスには、通常、同社のシステムに評価が蓄積されていないと述べています。Googleの送信者向けFAQは、適用スケジュールにおける「新しいドメイン」を、登録時期ではなく、そのドメインが何を送信してきたかで定義しています。サイトを置いていただけの10年前のドメインは、新しいドメインと同じところから始まります。
配信プラットフォームから送るメールマガジンも、休止後に再ウォームアップが必要ですか?
プラットフォームの共有IPアドレスは、他の顧客の送信で動き続けているので、そちらで再ウォームアップするものはありません。それでも、あなたのドメイン自体の記録は途絶えています。最初の号は、直近で最も反応のあった購読者に送り、その後の配信で対象を広げていきましょう。WarmupBayのようなメールボックス用のウォームアップツールは、これには役立ちません。ウォームアップするのはメールボックスであり、メールマガジン配信プラットフォームからの送信ではないからです。
季節性のあるビジネスです。毎年ウォームアップが必要ですか?
シーズンの合間にメールボックスが何か月も止まるなら、必要です。毎回の始動を再ウォームアップとして扱い、最大の送信数が必要になる約2週間前に始めてください。もっと手軽な方法は、完全には止めないことです。オフシーズンの間も、普段のやり取りか少量のウォームアップを続ければ、記録が空になることはありません。
出典
- Email sender guidelines – Gmail Help
- Email sender guidelines FAQ – Gmail Help
- Top 10 Gmail sender issues – Gmail Help
- Postmaster Tools dashboards – Gmail Help
- Trace an email with its full header – Gmail Help
- Gmail SMTP errors and codes – Google Workspace Help
- Troubleshooting – Outlook.com Postmaster (Microsoft)
- FAQs – Yahoo Sender Hub
- Warm up an IP address – Twilio SendGrid Docs
- Warming up dedicated IP addresses (standard) – Amazon Simple Email Service
- M3AAWG Sender Best Common Practices, Version 3.0 (February 2015)